【消滅時効】債権者・弁護士から「一度ご連絡いただきたく」お願いされた方へ
元本よりも利息・遅延損害金が大きくなっているような場合
この画像(画像下の矢印部分)のように、元本よりも利息や遅延損害金が大きくなっているような状態は、相当期間、借金を支払っていないことが想定されます。この状況で債権者の代理人弁護士の事務所から支払督促の書面が届いてご相談に来られました。
「このまま放置されますと利息等が増え、貴殿に不利益も生じる事になります。」とありますが、安易に連絡をし支払いについて「ご相談いただく」と、貴殿にさらに不利益を生じる事になりかねません。この画像の例では、1円も支払わなくても良いものを、元本と利息の全額1500万円超を払う状況を作ってしまうことになる可能性があります
しかし、この状況を放置するだけでは利益になることはありません。
このような書面を受け取った方にしていただきたいことは、書面を受け取ってすぐに書かれている連絡先に連絡するのではなく、消滅時効により債務を0円にすることができないかを確認することです。つまり、お近くの弁護士事務所に相談に行かれてください。もちろん、書面を送ってきた弁護士事務所以外にです。
指定の連絡先にすぐにご相談されることは、その通話での会話の内容次第で消滅時効援用ができなくなる時効の更新(旧民法での中断)事由の「承認」(民法152条)に当たるリスクが極めて高いためやめてください。
債務の承認とみなされると、本来の時効成立までの期間(5年もしくは10年)がその承認したときから再スタートすることになります。
債権者本人からの通知に潜むリスクの高さ
もう少し詳しくお伝えします。弁護士からの通知であれば、すでに消滅時効に罹っている状態の債権について黙って支払えと通知することは「基本的には」想定できません。弁護士の職務上の倫理の問題あるからです。消滅時効に罹った債権についてその事実を伝えることなく請求する事は懲戒請求されるリスクもあることなので、そこまで思い切ったことはしないと考えられます。
ただ、通知の時点で時効期間は経過していなくても、時効期間満了直前だからこそ弁護士を入れて通知してくることは十分に考えられますよね。弁護士から通知が来たのだからと慌てて「一度ご連絡」することは容易に想定できますし、一度ご連絡すれば、その通話内容は当然録音されます。その通話で、支払いの猶予を求めたり、支払う事は難しいなどと言えば「承認」に該当します。
そうすると、弁護士からではなく、債権者からの通知であれば、すでに消滅時効期間が経過している債権の請求である可能性が大きいとも言えます。この場合こそ、消滅時効を援用すれば借金全額から解放される可能性が高いのです。受け取ってすぐに書面指定の連絡先に連絡するのではなく、弁護士に相談して請求されている債務について消滅時効により0円にすることができないかをすぐに確認することをお勧めします。
「権利の上に眠るものは保護しない」
「でも借りたのは私だし。」「連帯債務者になることを分かったサインしたのは私だし。」「貸してくれた貸金業者に申し訳ないような」と後ろめたい気持ちに引きずられてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、民法に規定された消滅時効の趣旨、「法の上に眠るものは保護しない」という考え方は非常に重要です。
これは、法律が不作為や怠慢によって自らの権利を行使しない者に対しては、その権利を保護しないという基本的な理念を示しています。
これまで権利行使をせずに権利を放置していた債権者に対し、放置した結果権利が0になる不利益を与えることを民法は公平であると考えているのですから、こちらから眠る者をわざわざ起こしてあげる必要はありません。債務者側の正当な権利として堂々と消滅時効を援用して眠り続けさせてあげれば良いのです。
債権者側も必要性を感じてしばらく放置していた権利について書面を送付してきているわけです。そのことには裏(消滅時効が迫っている。すでに消滅時効期間が経過している。)があるのですから、なぜ今更?と思った方はすぐ弁護士法人あさかぜ法律事務所の無料相談にいらしてください。