「印鑑証明書を送るだけ」その一言が引き起こす相続トラブルの実態と対策
相続手続きで突然、印鑑証明書の提出を求められたとき、あなたはどう対応しますか?
「相続手続きを進めるため」「代表者の届出に必要」といった理由で、親族から印鑑証明書の送付を求められるケースが増えています。しかし、この一見何気ない要求が、取り返しのつかない相続トラブルの始まりとなることをご存知でしょうか。
印鑑証明書は、遺産分割協議書への添付や不動産登記など、相続における重要な場面で必要となる法的な重みを持つ書類です。一度提出すると変更や撤回が極めて困難で、その後の相続手続き全体に大きな影響を及ぼします。
当事務所が経験した相続トラブルの多くに、「印鑑証明書の安易な提出」が関係していました。例えば、何も確認せずに送付した印鑑証明書が、知らないうちに不利な内容の遺産分割協議書に添付されていたケース。また、代表者届出のために提出した印鑑証明書が、預貯金の払い戻しに使用されていたケースもあります。
本記事では、印鑑証明書にまつわる具体的なトラブル事例と、その予防策を詳しく解説します。提出を求められた際の適切な対応方法、法的な意味の理解、注意すべきポイントなど、実務経験に基づいた具体的な対策をご紹介します。